今さら聞けない肩甲骨の特徴や役割
肩甲骨剥がし。肩甲骨ダイエット。スポーツするなら肩甲骨を柔らかく。肩こりの解消には肩甲骨のストレッチ。今や、健康を意識するニュースやテレビをみると必ずといっていい程、肩甲骨を聞くと思います。なんとなく健康には肩甲骨が大事なんだなー。と分かっていても、どんな構造をしていて、役割をはたして、身体の動きに影響が生じるのでしょうか。
肩関節の構造
肩関節の構成
肩関節は主に肩甲骨・上腕骨・鎖骨・胸骨・肋骨(胸郭)から構成されています。そして、それらが5つの関節によって構成される複合関節になっています。
例えば、肩と聞いて思い浮かぶ箇所は肩甲骨と上腕骨が成す肩甲上腕関節です。
肩関節は人体の中ではとても自由度が高く、安定性よりも可動性に優れた部分となっています。しかし、動き過ぎると脱臼してしまうし、骨同士の位置が微妙にズレた状態が続くと五十肩や腕の痺れなど様々な弊害も生じやすいです。自由度が高いと不安定になる。安定性を優先させると自由度が下がってしまう。そのため、肩甲骨を含む肩関節は体幹と連携し強固な関節を作るのではなく多くの筋肉や靭帯によって支えられ、一つの動作に協調的に働き、私たちが手を使うという複雑な動きを支えてくれています。
ちなみに5つある関節の内、体幹と繋がっているのは胸骨と鎖骨を繋ぐ胸鎖関節のみです。
肩甲骨の構造
肩甲骨の運動
肩甲骨は胸郭の背面にある逆三角形の骨です。肩甲骨は鎖骨との関節以外、どこにも固定されておらず、本来であれば自由に動けて大きな可動性を作り出せるようになっています。しかし、背中で自由に動きすぎるとそれはそれで問題です。
本来は自由に動ける肩甲骨が筋肉や靭帯で日常に支障のない範囲で動きを調整されることで、私たちは腕を自由に大きく動かすことができます。肩甲骨の動きは付着する筋肉や靭帯の動きに支えられています。不良姿勢や使わなすぎ・使いすぎる事で筋肉や靭帯が硬くなると、肩甲骨は動けなくなります。肩甲骨自体が固まるのではなく周りの軟部組織が動けなくしているだけです。
姿勢と肩甲骨
肩こりの要因になりやすい姿勢
今はデスクワークやスマホの普及により猫背や巻き肩の人を多くみます。このような姿勢では、肩甲骨は身体の外側かつ前にお辞儀をするようなポジションをとりやすいです。肩甲骨は自分自身では動いて移動することはできません。ポジションが変わるためには、その方向に動かすための筋肉が働くことが重要になります。肩甲骨を外側に動かす筋肉として前鋸筋(ぜんきょきん)や、巻き肩・猫背の姿勢の原因となりやすい肩甲下筋や広背筋といった筋肉が収縮(短縮)することで硬くなり、姿勢の悪化に繋がってしまいます。また、この悪い姿勢が続くことで、首から肩甲骨を覆う僧帽筋や、肩甲骨を本来あるべき位置に保持しようとする菱形筋といった筋肉が常に伸ばされた状態で緊張してしまいます。前や外側に持っていかれそうな肩甲骨を、まるで綱引きをするように、なんとか負けないように引っ張って元の位置に戻そうと頑張っています。それだけ頑張ると肩こりが生じるのもなんとなく、想像がつきませんか?
肩甲骨が固まる
肩甲骨の可動性低下
肩甲骨は本来、自由に動ける状態が正常です。好き勝手に動き過ぎないように、周りにある筋肉や靭帯で動きを制限されることで、自由さと安定という相反する動作を可能にしています。逆に言えば、その筋肉や靭帯の動きに依存しているため、短縮したり緊張したり不良姿勢が続くと本来の動きが出せなくなります。また、肩甲骨自体ではそれをどうすることもできません。なので、必要なのは肩甲骨の動きを阻害している筋肉をしっかりと緩めてあげることと、本来の位置にしっかり保持してあげれるように必要な場所の筋肉を鍛えてあげること。このバランスが重要になります。肩甲骨剥がしといって、一時的にでも肩甲骨の可動性を出してあげることは今は色んな情報が簡単に手に入るので正直難しくはないです。でも、根本的な姿勢が改善しなかったり本来の位置に保持できるように適切な筋肉に活動性を持たせてあげないままだと、肩こりが根本から良くなりませんし、五十肩や頭痛・腰痛の原因にも繋がってしまいます。
肩甲骨ダイエットの真偽の程は・・
効果は確実にあります
ここまで読んでくださった方なら、肩甲骨の動きや性質についてなんとなく分かって下さったのではないでしょうか。肩甲骨が動かなくなる要因は①姿勢の問題②それに付随した筋肉・靭帯の短縮(緊張)に加えて、③短縮された筋肉と対になる筋肉の伸長状態での緊張で肩こりの発生です。
肩甲骨をストレッチ⇒肩甲骨が動きやすい状態を作る⇒不良姿勢が改善される⇒重力に抗して姿勢を保持できる⇒見栄えが良くなる!!まずは即効性としてはコレじゃないでしょうか。
もちろん、生理学的にもその有用性はあります。身体の代謝を上げて、脂肪燃焼に効果があると言われている褐色脂肪細胞というものがあります。これは肩甲骨周りに存在しており交感神経の活動により活性化されると報告されています。肩甲骨周りのストレッチなどの骨格筋が動くことで、交感神経が活性化され、代謝が上がり脂肪燃焼効果が促進される効果も期待できます。
とは言っても、肩甲骨のストレッチをして痩せたいと思い行動を起こすことは、その時点で運動習慣・健康意識が芽生えている証拠です。簡単に始められて、場所もそんなに必要ない、デスクワークの合間にもできる肩甲骨のストレッチ。是非、初めてみてください!
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