ランニング中の身体の操作、意識していますか?

意識⇒無意識で運動効率のアップを

ランニングのトレーニングをする際の身体の使い方、前回は下肢を中心にお伝えしました。今回は上肢・体幹部分を含めた意識付けです。もちろん、ランニング中に常時身体の操作を意識することは難しいですが、一つ一つ身体の部位がもつ役割や動きについて考えてみましょう。

Feature

ポイントはリラックス(フラット)状態をキープ

ランニング状態でなくスタンダードの状態をチェック

ランニングトレーニングをする上で上半身のチェックポイントは大きく首・肩・脊柱の状態です。ここから細かく胸部、肩甲骨、腕と繋がっていきますが、まずはこの3点を普段の状態でチェックする必要があります。特に首と肩は生活習慣から不良姿勢になっていることが多く常に緊張していることがあります。まずは意識的に脱力(リラックス)した状態を作り出し、その状態を覚えることが重要です。

ポイント1⃣

ランニングの時、どんな姿勢を意識していますか?

🌟胸を張って堂々とランニングするパターン

堂々とというと大袈裟かもしれませんが、意外と胸を張って走っているランナーは多いです。客観的に見たら自信に満ちていてかっこいいです。ただ、胸を張り過ぎると結果的に背面を反らすことに繋がり、腰椎への負担が増大し腰痛の原因(ヘルニア等のリスク)となってしまう可能性もあります。

🌟前傾姿勢、猫背でのランニング姿勢

この姿勢は多くが好んでとることはないと思いますが、市民ランナーの大半はマラソン後半、疲労が溜まってきたら無意識でこの姿勢になりやすいです。このような姿勢では胸郭が丸くなった状態で十分に広がることが出来ず、呼吸が浅くなったり上肢・肩甲骨の動きが制限されたりとランニング運動の効率低下へと繋がってしまいます。

ポイント2⃣

ランニング中の理想姿勢

先にお話ししたようにランニング中の体幹の位置は胸を張り過ぎても、前傾し過ぎてもよくありません。大事なのは胸部がフラットな状態、客観的に見た場合、耳のラインと肩のラインが一直線に揃っている状態が望ましいです。そして何より、リラックスした状態でその姿勢をキープすることが必要になります。

また、ランニング時は体幹の働きや安定が重要になりますが、この体幹は安定しながらも柔軟に動くことが必要です。よく、コーチングで『体幹を使って』『体幹に力を入れて』などの表現が用いられることもありますが、このコーチングだと確かに体幹に力が入り、安定はすると思います。しかし、ランニングトレーニングでの体幹の動きは回旋もするし、刻々と変わる重心位置に応じて体幹の位置を微調整する等、細かな動きが必要になります。体幹を意識しながらも、フラットな状態をキープするために力を入れ過ぎないようにしましょう。

ポイント3⃣

肩甲骨と腕の動き

ランニングの際、肩甲骨は腕振り動作に関与します。そして、腕(特に肘)の角度で肩甲骨がより効率的に動くことを決定してくれます。ランニングトレーニングをする際の上半身のチェックで必要なのは、この肩甲骨を振りやすい角度(操作しやすい所)を探すことです。肩甲骨がしっかりと動くと肘も自然と後ろに引けます。肘は肩甲骨主導で動かすこと、肘の角度は肩甲骨の可動性に依存していること。この二点を覚えてトレーニングする際は意識してみてください。

また、繰り返しにはなりますが効率的に運動を進めるためには力み過ぎないことです。腕の力みは肩甲骨の可動性を下げることに繋がり、肩甲骨が動かないと周囲の筋群が働きすぎて結果的にランニング効率の低下へと繋がってしまいます。

まとめ ランニングのトレーニングで意識するポイント


  • 脊柱

    まずは何をするにも脱力(リラックス)することが重要です。これはトレーニング中、競技中も意識的に行っていきましょう。脊柱に力みが生じると脊柱周囲筋群が硬くなり、体幹をフラットな状態にキープできなくなります。とはいえ、生活習慣からくる姿勢不良が元々ある場合もあります。セルフチェックとして両肩の高さの左右差や、横から見たときの耳と肩のラインが一直線になっているかなどを確認するといいかもしれません。

  • 肩甲骨

    ランニングの際の腕振り動作に関与しています。脊柱同様、フラットなポジションをキープすることが重要ですが、肩甲骨は周囲の多くの筋肉や関節と深く関係しています。そのため、肩甲骨の動きだけでなく、他の部分との関わりをみていく必要があります。

    また、私たちは姿勢というと猫背はあまり良くなく、良い姿勢をとろうとすると肩甲骨を内転させ胸を張ろうとすることが多いです。ランニングにおいては、肩甲骨が内転した状態となると周囲の筋群が緊張することで、肩甲骨が動かしにくくなり腕振り動作に影響が生じてしまいがちです。理想は、ゼロポジションからやや外転位に肩甲骨はキープしましょう。

  • 肩甲骨の動きと密接な関わりがあります。ランニング時に腕を楽に振るためには肘の角度がポイントになります。そして、この角度というのは肩甲骨が動きやすい角度でもあります。肩甲骨がしっかり動くとランニングの際に肘が自然と後ろに引けるようになります。肘の角度は肩甲骨の可動性に依存しており、同時にそれ以外の場所(手・前腕・上腕)は脱力していることが重要となります。

    腕を振りやすい角度は人それぞれ異なります。自分にとって動かしやすい最適な角度を探していきましょう。

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